映画トレインスポッティングの原作小説2

trainspotting101 (1)映画トレインスポッティングの原作2
原作は映画より細かく、もっと過激ですが面白いです。トレインスポッティングTシャツとともにストーリーをチェック。

 「延滞料なら俺が払ってやるよ。そういうことだろ、めえがふてくされてんのは。ビデオ屋に五〇ペンスふん
だくられる程度のことで騷ぐなよ!」
 こいつにかかると、自分がほんとにケチくさい人間み
たいに思えてきちまう。
 「俺か言ってんのはそんなんじゃねえ」
 そう言い返したが、ほんとかどうか、自分でも確信はない。
 「ああ、そうかよ。俺が言ってんのはな、こっちは苦しくてたまらねえのに、俺のダチ公ってやつがわざと足ひきずって歩いてるってことだ。しかも、おもしろがってやってんだからな!」
 シックーボーイの目は、サッカー・ボールみたいにでかく冷たく見えたが、同時に、訴えるような色をしていた。それはおまえ、ほんとうに裏切り行為だぜと、痛烈に訴えるような。俺が生きながらえてガキをつくることがあっても、絶対にシックーボーイみたいな目でこっちを見ないでほしいと思う。こういうシックーボーイに、俺は弱い。
 「俺はそんなつもりじゃ……」
 「なら、さっさとにに着を着ろよ!」
 通りには、タクシーは一台も見えなかった。こっちに乗る気がないときには群れをなしてるくせにな。八月だくる黒いタクシーを指さす。
 「運がいいと思えよ。生意気な野郎どもめ」
 「失せろ、このニキビ野郎。とっとと消えろってんだ!」シックーボーイが怒鳴り、俺たちは争うように夕クシーに乗り込んだ。
 トールクロスに行ってくれに俺が迎転手に言った瞬間、窓ガラスに唾がべちゃっと飛び散った。
 「きっちり話をつけようじゃねえか!おりてこい、このくそったれ」シェルスーツが怒鳴る。
 タクシーの運転手は嫌な顔をしていた。しごくまともそうなやつだ。そう、たいていのやつはまともな人間だ。
国民保険を払ってる自由業の連中ってのが、この世で最低最悪の人間のクズなんだ。
 タクシーはUターンをし、リースーウォークをかっ飛ばす。
 「何てことしてくれたんだよ、べらべらしゃべりやがって。おまえだって俺だって、今度ひとり・で家に帰ってみ
ろ、あいつらにか・ら・まれちまう」俺は向かっ腹を立てていた。
 「レントン、おまえ、まさかあのチンピラが怖いってんじゃねえだろうな。こいつ。これはほんとに頭にきたぜ。ていうのに、こうして外に立っていると、タマが縮みあがるほど寒かった・俺はまだ苦しくはないがじきに禁断症状に襲われるはずだ。まちがいない。
 「いつもなら腐るほどいるじやないかよ。タクシーなんかよう、腐るほど。くそ、フェスティバルの時期になる
と、拾えたためしがねえな。くだらん教会から次の出し物まで二百ヤードも歩かねえような、どんくさいデブの金持ち観光客なんか拾って歩いてんじゃねえよ、どいつもこいつも。金にしか目がない脳たりんめ……」