なかなか楽しめるトレインスポッティング原作小説

trainspotting101 (9)

カッコいい映画トレインスポッティング。原作小説もなかなかえぐいですが、映画より詳細にレントンたちの生活を綴っているのでより世界に没頭できます。

よりトレインスポッティングが好きになったらTシャツもチェックしてくださいね。

詞の受け売りだろうけどな。この瞬間の他には何も存在しない」(たぶん、宣伝に出てたやつ)かなんかが最初にいったんだろうと思う。だが、そのフレーズさえもしっくりこない。
この瞬間の真ん中に存在するのは、病人の俺と、マイキーだけ。
わけのわからん婆さんが、そういやあ、年寄りってのはそろいもそろっていバスに乗ってるしな。何だかんだとくだらないことを運転手に聞いていた。路線番号だとか、ルートだとか、到着時間だとか、どうでもいい質問を次から次へと浴びせている。乗るのか。乗らないのかはっきりしろよ、ばばあめ。とっととくたばっちまえ。他人の迷惑を考えない婆の料簡の狹さと運転手の寛大さに、俺は密かに怒りをつのらせ、窒息しそうになっていた。最近の若い者はああだとか、公共物の破壊行為がこうだとか、よく言
うな。この婆みたいな年寄り連中の精神的破壌行為はどうなんだよ? ようやく乗りこんできても、婆さんはずうずうしくべらべらとしゃべりつづけていやがった。
婆さんは俺のすぐ前の座席に腰掛けた。
いいかい、できたのは二〇年も前なんだぜ。ソーレスターのメソネットは。ミューアハウスの中でも大きなアパートに入っている。この辺りのはだいたい二階建てなんだが、フ爿レスターのは五階建てで、おかげでエレベーターがついている。ただし。ついていたって伺いてたためしかない。俺はエネルギーを節約しようと寄りかかり、はいあがるように階段をのぽった。
痛み、冷や汗にくわえ、中枢神経がほとんど完全にいかれているせいで、腸が全開で働きはじめていた。
ガスが移助する不快な感覚。下痢の前兆、どうにかノーレスターのアパートの前でからだを引きずっていった。俺が苦しくてたまらないのだとフォレスターにはわかるだろう。もとジャンキーの売人は禁断症状に襲われてるやつを一発で見抜くだが、ここまで切羽詰っていることを、やつに知られたくなかった。どんなヘロインでも我慢する。ブツを手に入れるためなら、フォレスターに何とののしられようが我慢する。だが、こっちの状態を必要以上に宣伝する必要はない。
婆さんの後頭部に視線をざりざりとねじこんでやった。脳出血か心臓発作でも起こしてくれりやいい。