トレインスポッティング小説も面白い

trainspotting101 (8)

トレインスポッティングは、カッコいい映画ですが、原作小説はもっと過激でもっと映画よりドロドロしています。
キャラクターTシャツもチェックしてください。

ない。床のど真ん中に寝袋ののったマットレス。電気ストーブ。ちっぼけな木の椅子の上に白黒テレビ。それに、茶色いプラスチックのバケツを三つ用意した。水で薄めた消毒液が入っ・ている。糞用、ゲロ用、小便用だ。一時しのぎのベッドから手が届く位置に、スープやジュースの缶、薬をずらりと並べた。
 買いものリストをやっつける憂鬱を乗り切ろうとして打ったあれを最後に、ヘロインはやっていなかった。これから最後に仕入れるヘロインは、眠り、禁断症状を和らげるために使うつもりだ。小分けして、計画的に使うことにしよう。それにしたって、とっとと仕入れなくちゃやぱい。禁断症状がいまにも襲ってきそうだ。いつも通りの始まり方だった。まずは、みぞおちのあたりに軽い叶き気。具合が悪くなってきたなと気づいたとたん、「何か気持ちわりいな」が一気に「もう我慢できねえ」まで進む。歯痛で始まり、それが歯からあごへ、あごから目の奥へ広がり、やがて、苫しく、耐え難く、その場にくずおれちまいそうな激痛が、どくんどくんと全身の骨に響く。すると待ってましたとばかりに汗が噴き出す。
そうだ、悪寒も襲ってくる。車のルーフにうっすらと降りる秋口の霜が、背中一面に張りついたみたいな感じだ。
いますぐ何とかしなくちやならない。このまま寝転がった。
ロンドンだって? マジかよ……で、いつ戻ります?「知りません」
 「マークあてに何か残していってないですか?に残してるわけないよな、あいつが。
 「いいえ……」
 俺は震える手で受話器を置いた。選択肢は一つ。ここはじっと耐え、部屋に戻る。211フォレスターの野郎に電話し、ミューアハウスヘ行き、好き勝手にののしられ、有り金を残らず巻き上げられたあげく、クズみたいなヘロインを手に入れる。迷うことはない。だったの20分で行けるじゃないか。
 「これ、ミューアハウスも停まる?」ニニ番のバスの運ちゃんに確かめ、手を震わせてなけなしの四十五ペンスを料金箱に入れる。嵐の中じゃ、どんな港だって天国だろ。しかもこの嵐は俺の頭ん中で吹き荒れてるんだぜ。
 バスの奥に行こうとしたら、どっかのばばあが汚いものでも見るみたいに俺を睨みつけた。どうやら俺は、よほどひどい顔をしてるらしい。だが、気にもならなかった。俺の世界には、俺とマイケルーフォレスターしか存在していなからだ。それと、俺とフォレスターとの問にて苦しみ悶えるなんて、耐えられない。スローバーン、あのゆっくり効いてくる「禁ヤク用ヤク」が要る。ヤクのためだったら動ける。ねじれた肋骨をほどき、眠るために、あともう一発だけ。ヘロインとはそれでおさらばだ。スワニーは行方不明だし、シーガーはムショだ。残るはレイミーだな。廊下の公衆電話から、レイミーに電話をかけた。
 

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