映画トレインスポッティングの小説5

映画トレインスポッティングのもととなった原作小説は映画より細かく、もっと過激ですが面白いです。
トレインスポッティングのキャラクターTシャツとともに映画原作のストーリーをチェックしてみよう。

trainspotting101 (6)

 「おまえ、もしあのまま真っ暗な部屋に閉じこもって、匣の中で何か起きてるか知ろうともせずに一日じゅうビデオぱりかりしてたら、俺だってこんなこと教えてやれなかったんだからな」
ケリーは俺には何もいってなかったから。俺は弱々しく抗議した。
アリソンが言い、シックーボーイがにやにや笑った。
女をわかっていないといわれ、侮辱されたような気がしたが、かつがれてる場合のことも考えて、ここは軽くうけ流しておくことにした。からかわれてるんだとしたら。いい出しだのはシックーボーイに決まってる。
このふざけ大好き野郎は、ふらふらと人生をよろめきながらダチ同士の友情を吹っ飛ばす地雷をそこらじゅうにばらまいて、そんなことをして何が楽しいんだか、俺にはちっともわからない。
俺はシヘロインを少し仕人れた。
おいこいつは、粉雪みたいに混じりけなしだぜ
寝室でやってるんだろう。女たちは、シックーボーイを見ればセックスするのが当たり前だと思ってる。他の男としゃべったり、お茶を飮んだりするのと同じ感覚らしい。
クレヨンで壁に絵を描いていた。自分だけの世界に行っちまってる。やつはなんて幸せなんだ。まあ、こっちにしてもその方が楽だ。
俺はアリソンが言ってたことを考えた。ケリーは先週、中絶したばかりだ。だったら、あいに行ったって。気味が悪くてセックスなんかできそうもない。むこうがその気だとしての話だけどね。だって、まだ何か残ってそうだろ。べとっとした塊とか、胎児の残りとか。生傷みたいなものとか。それにしても、俺はとんでもないあほうだったらしい。アリソンのいう通りだ女のことなんか、わかっちゃいない。何のことだって、わかっちゃいない。
 グリーはインチにいる。バスで行くには面倒なところだし、タクシーにのるほど金はない。たぶん、ここからならバスでも行けるんだろう・が、どのバスがインチに行くのか俺は知らない。いや、ほんとのとこを白状しちまえば、ラリってて立つものも立たねえし、疲れてて話をするのも勘弁ってだけのことだとか。
 つまり、混ぜものはほとんど入ってないが、毒物はたんまり入ってるってことだ。
 それからすぐに、こんな連中とはおさらばしたくなった。聞きたくもないことばかりだった。誰が誰と寝ただの、ここらの自警団がヒステリックなアンチードフック運動をしてて、迷惑しそうだの。それからスワンの半生お涙ちょうだいバージョンをべらべらしゃべってみたり、ヤクから足洗って夕イに行くつもりなんだと夢みたいなことをまくしたてたり。
自い肌と、ポケットにトポンドのピン札数枚があれば、王侯貴族の暮らしができるらしい。他にも、もっとひどいことをしゃべりていた。もっともっと人を馬鹿にするような類のことだ。俺は考えていた。
ああ、よたホリイトースリンじゃなく、悪魔がしゃべってるんだ。いや、ちがうかもしれないな。どっちだがわかりゃしない。ま、どっちでもいいや。
アリソンとシックボーイは。何やら事務的なやりとりをしていた。次のヘロイン取引の相談らしい。うんざりしたような、冷めた顔をしていたが、戻ってこないとダムが俺を待ってるリースへ帰ることにした、あのこしゃくな悪党にジャンークロードがナイフを突きたてるのが楽しみで、バスに揺られながら、俺はずっとうきうきしていた。