トレインスポッティング原作4

映画トレインスポッティング原作は映画より細かく、もっと過激ですが面白いです。

trainspotting101 (4)

おまえたちは賢いようん、衛生に気をつけるのは、それからジョニーは、沈んだ声でいった。エイズになっちまった。
俺は訊き返した。誰がHIV感染したとか、誰は感染してなかったとか、しじゅうそんな噂が流れてくる。俺はいちいち信じないことにしている。ただ、イグジーのことは、いろんなやつから聞いていた。
 「そうともよ。まだ完全にエイズと決まったわけじゃないが、検査じゃ陽性だと。ゴグジー、世界の終わりが来たってわけじゃねえぞ、ウイルスと共存だってできるんだ。何の苦もなくそうしてるやつが。世の中ごまんといるだろ。何年も発症しないこともあるんだからってな。HIVに感染してなくても車にひかれて死んじまうかも知れないんだしよ、そういうふうに考えるしかないよな。ただあきらめちゃいけねえ。前に進むしかないんだから」
自分じゃなければ、哲学者ぷるのは簡単だ。
ジリニーがめずらしくシックーボーイに手を貸し、ヤクをやった。それからジーニーは、シックーボーイのいまでで最高のオーガズムを思い出して、その感覚を2倍にしてみても、この快感にはとうていかないっこない、優しい愛拠に、乾いてひび割れそうになっていた全身の骨が鎖まり、とろけてゆく。強烈だ。強烈に効いている。
あの子、中絶してからかなり落ちこんでるらしいわ。
 「どうして俺が会いに行かなくちゃならないんだよ。俺には関係ない。」
 俺たちにはもうダチはいない、顔見知りがいるだけだ
一人ひとりのヤク事情を超越した台詞に聞こえる。俺たらの時代をメタファーだ。
 だが俺は、俺たちはみんなケリーの友だちだろと我慢し、どうして俺だけいけないんだよと訊いた。
 「いやだ、マーク。あの子があんたにぞっこんなの、太く健康そうな濃いブルーの静脈をながめながら、力-リー・サイモンのナツメロの替え歌を囗ずさんだ。
シックーボーイを焦らしておもしろがっているんだ。
ジョニーが針を静脈に突き刺し注射器に逆流する。次の瞬間、命か奪う魔法の液体を注ぎこんだ。
 シックーボーイはスワニーを固く抱きしめ、それから腕をからめたまま、だらりともたれかかった。
どちらも安らいでいた。セックスの余韻を楽しむ恋人たちみたいだ。今度は、シックーボーイがジョニーの耳もとで愛の歌を噺く冊だった。
スワニー、愛してるよ、愛してるよ、ぼくの大切なスワニー……
 おい、もう相思相愛かよ。
 俺も。一発やった。針を刺せる静脈を見つけるまで、えらく時間がかかった。俺の静脈は、普通の人とちがって肌の奥深くに埋もれている。ようやく見つかると、俺はじっくり味わいながら流しこんだ。アリの言うとおりだ。
ケリーが? そんな馬鹿な!俺は驚いていた。とまどっていた。それに、とにかくばつが悪かった。俺は鈍感だって。
レンツに、もっとひどいやつは「レントボーイ」と呼ぶ。そう呼ばれると、ほんとに頭に来る。だが、嫌がってるってことを顔に出さないようにしている。そんなことをしたら、連中をよけいにおもしろがらせるだけだろ。
 シックーボーイが聞き耳をたてていた。な、ほんとだと思うか? ケリーが俺に惚れてるって?

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